エゴグラムによるリーダータイプの10パターン

では、みなさんが日常の職場の中でマネジメントを行ううえで、
またリーダーシップを発揮する上で、
このエゴグラムは周囲にどのような影響を与えているのでしょうか。
一番目と二番目に高いバーに注目して、リーダーのタイプを以下の10パターンに分類して
みました。                         ★

それぞれについて、
①基本的なものの見方・考え方。
②そこから発生するコミュニケーションの特徴。
③および、それらが所属部署の風土の醸成にどのような影響を与えやすいか。
という三つの視点から述べてみましょう。

 

1 CP―NPタイプ(図表9)

●ものの見方・考え方/高い理想や信念を持っていますが、一般的な社会通念や常識から
逸脱することなく、その範囲内で物事を判断する傾向にあります。

●コミュニケーションの特徴/高い理想と責任感を持
ち、それを強烈に打ち出す強引さはありますが、同
時に周囲に対する理解・思いやりをあわせ持って
おり、部下のフォローも決して忘れません。
たとえていうならば、厳しいけれども面倒見のよい
「昔気質の親分肌」といえるでしょう。
また、ストローク(ふれあい)の結果、相手は、AC
を刺激されますが、
高いNPでフォローもしっかりするため、
ストレスをため込むことは少ないといえるでし
ょう。

●組織への影響/高い理想のもと、一致団結して目標
に向かっていく傾向をもちますが、部下のFCを刺激することは少なく、創造的なもの
は生まれにくいといえます。

 

2 CP―Aタイプ(図表10)


●ものの見方・考え方/高い理想とそれを実現する責任感が強く、一方で、事実やデータに基づいて、冷静に物事を考え、判断します。

●コミュニケーションの特徴/論理的・合理的に判断しますが、それが正しければ正しいほど、反対意見には耳を貸さず、意見を押しつけてしまう危険性も持っています。特に、NPが低い場合、思いやりや周囲への理解に欠けることがあり、冷たい人だという印象を強く持たれるでしょう。

●組織への影響/NPやFCがある程度高い場合には、高い目標達成に向けられた部下の貢献を得ら
れ、活性化しますが、反対にそれらが低いと、お互いの感情を無視したギスギスした職場になる可能性があります。

 

3 CP/FCタイプ(図表11)


●ものの見方・考え方/みずからの明確な価値基準、判断基準を持っており、それに従って、前向きに判断します。
また、創造的な発想の仕方をします。

●コミュニケーションの特徴/自分の考えをはっきり言い、また感情をストレートに表現します。ひとことで言うならば
「ひと昔前のわがままなワンマン社長」といったところでしょうか。アイディアが次々に浮かび、思ったことは遠慮せず、はっきり表現するため、一見魅力的にも映ります。

また、積極的・行動的でユーモアもあります。反面、NPやACが極端に低いと、周囲への思いやりに欠ける自分勝手な発言が多くなる危険性があります。また、Aが低いと、行きあたりばったりの行動が多くなり、周囲の部下が振り回されることになってしまいます。

●組織への影響/同一の価値観を持つもの同士で構成された組織であれば、強力な凝縮性を発揮する可能性があります。また、創業まもないベンチャー企業などでは、強力な推進力を発揮し、活性度の高い組織になるでしょう。
しかし、会社組織が安定度を増すにつれて、そのようなことは考えにくくなり、現実には、価値観を同じくする部下はかわいがるが、そうでない部下は排除、または関心を示さない傾向も見られ、部下は上司の顔色をうかがうようになる危険性が強くなります。
その為、部下は、目標の達成よりも、上司の歓心を買う行動が多くなり、結果、全体のモラールの低下を引き起こす危険性が考えられます。

 

4 CP―ACタイプ(図表12)

●ものの見方・考え方/非常にまじめな努力かですが、「~すべきである」を通り越して、「~しなければならない」という義務感に支配されがちです。規則や決めごとに厳しく、他人の不正や失敗を許せない反面、それを口に出せず、ストレスをため込みがちです。

●コミュニケーションの特徴/物事や周囲に対して批 判的な反面、人に遠慮してそれを口に出せないでいるため、常に葛藤を抱えています。そのため、ときとして自分の意見をあいまいにしたり、黙り込むこともあるので、部下にしてみれば、非常にわかりにくい上司という印象もあります。酒席などで急に部下や上司を批判して、周囲を驚かすこともあります

●組織への影響/目標や方針はあったとしても、日常の出来事に対する是々非々がはっきり示されないため、ときとして、組織の方向性を見失う可能性があります。また、部下のFCを刺激することが少ないため、消極的な活性度の低い組織になりがちです。

 

5NP―Aタイプ(図表13)

●ものの見方・考え方/冷静で、物事の本質を理解しようとする洞察力にすぐれています。

●コミュニケーションの特徴/相手の話すことに真剣に耳を傾け、理解しようとします。そのうえで、問題点の本質を把握し、適切なアドバイスを与えることができます。そのため、相手に安心感と高い信頼感を与えます。このタイプの人は常に相手の立場に立ってものを考えることが多いので、FCが低いと、自分自身の考えを押し殺してしまうことも考えられ、ストレスをため込むこともあるのでしょう。

●組織への影響/問題が生じても冷静にその本質をとらえ、対策を講じていく傾向があり、また部下の納得も充分に得られることから、モラールの高い活性化した組織になる可能性が高いといえます。

 

6NP―FCタイプ(図表14)

●ものの味方・考え方/良くいえば前向き、悪くいえば楽天的といえるでしょう。反面、物事を情緒的にとらえる傾向があります。 自分や相手の感情を優先するあまり、物事の本質を見失い、誤った判断をする危険性もあります。

●コミュニケーションの特徴/明るくほがらかで、他人に対する思いやりにあふれています。そのため、部下や周囲の人を明るくさせたり、勇気づけることが多いといえます。しかし、Aが低いと、問題点を論理的に見ることができず、感情に左右され、誤った判断をする危険性もあります。

●組織への影響/明るく和気あいあいとした解放的な雰囲気を作り出します。が、CP、Aとも低い場合は、業績に対する関心が薄れ、人間関係に重点を置いた、お遊び的組織になる可能性も高いといえるでしょう。

 

7NP―ACタイプ(図表15)

●ものの見方・考え方/人はどう思うだろうかという意識が強すぎて、人の意見に左右されてしまいます。前向きというよりも、現状を維持しようとする消極的な発想をする傾向も見受けられます。

●コミュニケーションの特徴/周囲がどう思うかが気になって、なかなか自分の意見をハッキリ言うことがありません。そのため、誰からも好かれるいい人なのですが、部下からは、頼りがいのない上司と映 ることもあるでしょう。

●組織への影響/誰に対しても「ノー!」と言えないため、組織としての基準が不明確になりがちです。また、自分の考えや進むべき方向を打ち出すことが苦手なため、リーダーシップをとることができず、バラバラでまとまりのない組織になる可能性もあります。

 

8A―FCタイプ(図表16)

●ものの見方・考え方/創造的で、前向きな発想で物事をとらえます。しかも、論理的に考えることができるので、多少の困難は、簡単に乗り越えていくでしょう。一方で、自己中心的な発想をする傾向もあります。すなわち、今、目の前で起きている事象・問題点は、自分にとって損か得かを冷静に見きわめ、うまく立ち回ろうとすることも多いようです。特に、NPが低い場合には、他人の感情はどうでもよく、思いやりに欠けた行動をとることにもなりかねません。

●コミュニケーションの特徴/明るく、創造力豊かで、かつ論理的に話すので、説得力があります。かつ自信に満ちています。そのため、部下や周囲の人の充分な納得が得られ、大いに動機づけられることでしょう。

●組織への影響/部下の納得が充分に得られることから、部下の一人ひとりが自発的に行動する、モラールの高い活性化された組織となる可能性が高いといえるでしょう。

 

9A―ACタイプ(図表17)

●ものの見方・考え方/物事を冷静に、分析的にとらえます。が、悪いほうへ悪いほうへと考える傾向もみられます。そのため、リスクを回避するという点では力を発揮する可能性もありますが、困難を乗り越えていこうという前向きな発想にはなかなかなりません。

●コミュニケーションの特徴/周囲の目や、人の意見が気になって、自分の考えを積極的 に述べることをせず、周囲の意見に同調してしまうことが多いようです。

 そのため、いい人なんだけれどもよくわからない人 という印象を与えてしまい、部下や周囲の人から相 談を持ち込まれることも少なくなって、コミュニケ ーションの量そのものが減少していきます。

●組織への影響/リーダーとして、指針や進むべき方向性を示すことができないので、みんながてんでバラバラに行動する傾向が表れやすくなります。特にCPが低いと、その傾向が強いようです。リーダー不在の組織といえるでしょう。

 

10FC―Aタイプ(図表18)

●ものの見方・考え方/論理よりも直感、我慢よりは快楽、他人よりは自己中心的な発想で物事を判断する傾向にあります。

●コミュニケーションの特徴/自分の感情を満足させようとする「自分が、傾向」が強く、責任感や周囲に対する思いやりに欠けた発言がめだちます。また、自分に起こった問題の解決には、周囲に依存しがちですが、周囲での出来事に対しては、当事者意識がなく、お客さま意識しか持とうとしません。

●組織への影響/一人のリーダーの満足心を満たすために振り回され、部下は疲弊してしまう可能性が高いようです。
部下のストレスも強く、不平が充満しており、定着率も低いのが特徴です。