[1-2] 人の心に宿る5つの自我

②人の心に宿る五つの自我

今日は大切な会議のある日。
普段遅刻などしないA君が、今日にかぎって遅れてしまいました。
「何考えてるんだ!君は」。課長は大声でA君を怒っています。
それを見ているあなたはどんなふうに感じるでしょうか。

①こんな日に遅刻なんかしやがって、課長の言うとおりだ。
②ああ、かわいそうに。課長もそんなに怒らなくてもいいじゃないか。
③彼はなぜ遅刻したんだろう?何かあったのかなあ。
④ウワー、ハデに怒ってんなー。くわばら、くわばら。
⑤今日の課長は機嫌が悪そうだ。嫌だなあ、気をつけよう。

いかがでしょうか。

次に、こんな場合はどうでしょうか。

朝の満員電車の中、急停車したまま五分ほどたっているのに、車内放送もなく、
運転再開の気配がない。
あなたはどんなふうに感じますか。

①何やってんだ、まったく!
②早く動かないと、気分の悪くなる人も出ちゃうだろうな。気の毒に。
③車内放送もないというのはおかしいな。何があったんだろう。
④ナンダ、ナンダ。きっと事故だな。どんな事故だろう。
⑤しょうがない。がまんがまん。それにしても課長に怒られるだろうなあ。

いかがですか。

どれにも当てはまりそうな気がしませんか。
それもそのはずです。


その場その場によって、気持ちの出方の強弱はありますが、どれもあなた自身なのですから。
すなわち、あなたの心の中には、五つの異なった人格が存在するということなのです。
このことは、あなただけではなく、上司にも、部下にも、もちろん私にも、そしてあなたの子どもたちにも同じことがいえます。

「人は皆、その人格の中に、五つの異なった自我が同時に存在している。そして、その時々により、その中の一つの自我が行動となって表面化している」

これが交流分析の基本的な考え方で、そのとき働かせている(表面化している)人格を、
そのときの「自我状態」と呼んでいます(前ページ図表1)。

では、五つの自我状態とは、どのようなものなのでしょうか。