[1-1] 交流分析とは何か

①「交流分析」とは何か

「交流分析」とは、
人々の間でとり交わされる「刺激に対する反応」の態様を分析することと
定義されています。

わかりやすくいえば、コミュニケーションのとり方を分析することによって、
その人の性格や、それを形作った原因などを明らかにし、
より良い人間関係を築くための方法を見つけ出そうとするものです。

アメリカの精神分析医エリック・バーン博士(Eric Berne/一九一〇~一九七〇)によって
一九五〇年代に提唱され、臨床心理療法の一つとして発展してきたものですが、
一九六四年にその著書『Games People Play』(『人生ゲーム入門』南博訳、河出書房、
一九六七)は、発表されるやいなやたちまちベストセラーとなり、

以降、各国へと広まっていきました。

日本では、一九七〇年代に九州大学心療内科が臨床の場に最初に導入、以後、
医療機関・教育機関を中心に次第に広まりつつあります。※1(巻末「参考文献」参照)

その主な目的は、
①自分のコミュニケーションの特徴・心の動きにみずから気づき、「真の自分を発見する」。
②人間関係の問題を解決するにあたって、相手を変えようとせず、
「みずからを変える」方法をとる。
③悩みや問題に関して、他人や環境のせいにしない。
④過去に心をとらわれることなく、「今、ここから、新しい自分」として生きる。
⑤そのことによって、豊かな自分・豊かな人間関係を創造する。
ことにあります。

フロイトを創始者とする精神分析が難解なのに対し、
交流分析は、そのわかりやすさから、素人でも充分に理解し、実践することが可能です。