5⃣「順応した子ども」の自我状態(Adapted Child/略してAC)

これは、FCが両親や学校の教師から規範や道徳などの影響を受けて、矯正された自我状態
といえます。

適度に発達したACは、協調性を育み、集団生活を送るのに役立ちますが、
強力なCPの影響下で育つと、
「~してはいけない」「~は間違っている」「それはだめだ」などに順応して、
人の顔色をうかがう、消極的で、依存性の高い、
自己否定的な自我ができ上っていきます。

あまりにも多くの「You are not OK」(あなたは、OKではない)というメッセージを受け
続けたため、自分の中に「I am not OK」(わたしは、OKではない)という感情が形成され
ていくからです。

親や教師から見ると、「いけないことはしない、親のいうことをよく聞く、いい子」として
育つため、周囲は気がつかない場合が多いのですが、「本当はこうしたいのに」「本当はこう
思うのに」という感情がストレスとなって蓄積され、後に、手のひらを返したように大爆発
する危険性もはらんでいます。

先の満員電車の例では、「しょうがない。がまんがまん。それにしても課長に怒られるだろ
うなあ」が、このACにあたります。

では、ビジネス現場ではどのように表れてくるのでしょうか。
以下に例示すると、
①(会議などで意見を求められた場合)
思わず周囲を見わたして、大勢の意見に従ってしまう。
②(意見交換をしているとき)
いやー、よくわかりません。
③(問題が起きたとき、自分一人では判断できず)
どうしたらいいんでしょうか。
④(上司に命令されたとき)
納得がいかなくても、受けてしまう。
などです。

ちなみに、心療内科の現場では、このACの自我状態の分析およびACと他の自我状態と
の強弱の度合の関連の研究に力を入れているようです。
というのは、ACの状態が極度に高まると、ストレスをため込み、神経症や心身症の原因
となる可能性があるからです。