[3]五つの自我を測定する<エゴグラム>

これまで述べてきたように、私たちは心の中に、誰でも五つの自我を持っていることをご
理解いただけたことと思います。
では、五つの自我の状態はどのようになっているのでしょうか。
その状態を測定するものを、交流分析では「エゴグラム」と呼んでいます。そして、特徴的
なものをとらえていくつかに分類したものを「エゴグラム・パターン」と呼んでいます。

では、実際に、みなさんのエゴグラムを作成してみましょう。
次に掲げたテストは、交流分析で一般に行われているものをもとに、私の主宰するハル・
コンサルティンググループが考案したエゴグラム・テスト(HAL Egogram Test=HET)
であって、ビジネスやマネジメントに関連した質問項目を取り上げることによって、自我
状態を測定するとともに、リーダータイプ(発揮されるリーダーシップの特徴)を明らかに
しようと開発されたものです。

なお、企業研修などで実際にテストをする際には、ランダムに並べかえたものを使用しま
すが、本書ではエゴグラムに対する理解を促進するため、質問事項を整理してあります。

では始めてください。

———-

HAL エゴグラム テスト

このテストは、普段のあなたの行動特徴から、どの自我が日頃出やすいかを、自分で確認
するためのものです。したがって、「こうあるべきだ」とか「これが正解だ」とか考えず、当
てはまるものには〇、当てはまらないものには×で、ありのままの姿をお答えください。
なお、回答にあたっては、できるだけ考え込まず、直感で、お答えください。
ただし、どうしても迷ってしまう場合のみ、△でお答えください。

CP…Critical Parent(批判的な親)

私は普段、
①部下に過ちを指摘されると、なかなか素直に聞けないほうです。
②上司、部下、先輩、後輩、入社年次、年齢にこだわるほうです。
③部下に目標を与える場合、「できた場合、~する」(プラスのインセンティブ)というより、
「できなかった場合、~する」(マイナスのインセンティブ)というほうが多いほうです。
④部下に仕事を依頼するとき、個人の都合より、全体(組織)の都合を優先するほうです。
⑤部下に理由をたずねられたとき、「規則だから」「当然だ」というような答え方をすること
がたまにあります。
⑥~すべきだ、~あるべきだ、という言葉をよく使います。
⑦他人の意見を押さえても、自分の意見を通すほうです。
⑧叱るとき、つい強い口調になってしまうほうです。
⑨他人の長所よりも短所のほうが目につくほうです。
⑩一度決定したことを途中で変更することは少ないほうです。

NP…Nurturing Parent(保護的な親)

私は普段、
①部下の失敗に対して、寛容なほうです。
②部下に対しても、自分から進んで挨拶するほうです。
③元気のない人がいると、どうしたのかと、よく声をかけるほうです。
④日頃から、部下から相談を受けることが多いほうです。
⑤部下が問題をかかえているとき、一緒になって考えるほうです。
⑥部下の仕事以外の関心事や興味について知っているほうです。
⑦部下が仕事に成功したとき、思わず握手や肩を組んだりするほうです。
⑧部下を叱るときには、最初に良いところを言ってから注意するほうです。
⑨反対意見には充分耳を傾けるほうです。
⑩欠点より長所が目につくほうです。

A…Adult(大人)

私は普段、
①複数の視点で物事を考えるほうです。
②部下に目標の提示や仕事のや依頼をするとき、その経緯や意義を充分に説明するほうです。
③反対意見を言うときは、感情的になることは少なく、落ち着いているほうです。
④部下が失敗したとき、叱るより、なぜ失敗したか、先に考えるほうです。
⑤問題が起きたとき、原因を明らかにし、再発防止のための対策を必ず立てます。
⑥偏見は少ないほうです。
⑦物事の判断は過去の経験や習慣よりも、事実に基づいて行うほうです。
⑧抽象的な言い方をすることは少なく、数字やデータに基づいて発言するほうです。
⑨職場の計画・方針について、具体的行動レベルで示すほうです。
⑩実行する前に計画を立てるほうです。

FC…Free Child(自然な子ども)

私は普段、
①部下や上司にかかわりなく、プライベートで遊びに行くことが多いほうです。
②部下が仕事に成功したとき、喜びを身体(態度)で表現するほうです。
③仕事以外にも、いろいろなことに興味・関心があるほうです。
④従来の考え方や習慣にとらわれない柔軟な考え方をするほうです。
⑤楽しいことを空想するのが好きなほうです。
⑥困難な事柄に直面した時、失敗する場面よりも、成功する場面を思い浮かべることが
多いほうです。
⑦喜怒哀楽を素直に表現するほうです。
⑧話すときの表情は豊かなほうです。
⑨自分の考えや人柄を周囲に対して、積極的に働きかけていくほうです。
⑩会議など意見交換の場では、思ったことは積極的に発言するほうです。

AC…Adapted Child(順応した子ども)

私は普段、
①他人の反対意見にあうと、結局は妥協するほうです。
②相手の感情を害さないようにするために、つい回りくどい言い方をするほうです。
③上司の命令には納得がいかなくても、なかなか反論できないほうです。
④上司の意見に反論する場合、上司の感情に気を使うほうです。
⑤会議など意見交換の場では、指名されないと発言できないほうです。
⑥人の先頭に立って物事を進めていくことは、苦手なほうです。
⑦問題が起きたとき、自分一人ではなかなか決断できないほうです。
⑧上司に対して不満がある場合でも、直接本人には言いづらいほうです。
⑨酒席では思わず上司の悪口が出てしまうことがあります。
⑩我慢することが多いほうです。

それでは、集計をしてみましょう。
〇は2点、△は1点、×は0点として各群ごとに合計点を
出してください。
次に、その点数を、図表3のようなエゴグラム・プロフィールに
転記し、棒線グラフを作成してください。

できましたでしょうか。
これがあなたのエゴグラム、すなわち、普段のあなたの
五つの自我状態を表したものです。